ぎょうけんの投資ブログ

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悪い円安よりも悪いインフレを警戒すべき

 昨年のドル円相場は大幅な円安になったため、最近では「悪い円安」というネットの記事をよく見かけるようになった。記事を書いている人物の中には、数年まえから始まったアベノミクスによる金融緩和を称賛していた人たちもおり、変わり身の速さには驚かされる。

 「悪い円安」のどこが悪いのかは人によって若干は異なる部分があるが、ほとんどの人が、「物価の上昇(インフレ)を招くこと」を挙げている。ただ、そもそもインフレを目標値(2%程度)にするために金融緩和をしてきたのであり、世界中でコロナ対策で財政出動をした結果、ようやく日本でも目標値には遠いがインフレになってきた時点で、今度は悪い円安などと言い出すのはどうかなと思う。

 実際に、今の日本のように給与が増えない状況で、インフレになってくると多くの人々の生活は苦しくなるため、こうした人々の不満の矛先をさけようとしてこのような話をしているのではと思う。

 個人的な意見を言うと、現在のドル円のレートは115円程度であり、2015年は125円まで円安になったことやインフレ率がまだ1%程度であることを踏まえると騒ぐほどの円安ではないと考える。

 逆に、この程度の円安でインフレを恐れて無理やりにでも円高にしてしまい、さらに万が一にでも、米国などでリーマンショックのような事象が発生して、円高がさらに進んでしまうような事態が発生すると、日本の生産設備がさらに海外へ流出してしまうことになるだろう。そうなると、今度は供給能力が需要を満たせない商品が出始め、そうした商品の大幅な値上がりを招いてしまう恐れがある。こうした物価の上昇は、生産能力が回復しない限り解消しないので、「悪いインフレ」といえるだろう。

 具体例を交えていうと、2020年にコロナが流行し始めた直後にマスクが不足し、価格が急騰したが、これと同じ事象が他の必需品で発生してしまうかもしれないということである。

 逆に、今よりもさらに円安が進むと、日本で生産するほうが有利になるので、生産設備は日本に残り、供給能力の低下はなくなるか増加し、かえってインフレに強い国になると考える。

 このように考えると、もしかしたら今は、消費税5%増税から沈み続けている日本がさらに沈んでいくのか、それともこれまでの状況とは逆に復活の道に歩んでいけるのかの分岐点にあるのではと思った。