日本経済を成長軌道に戻すには
30年近く日本経済はほとんど成長しない状態が続いているが、この原因についてふと思いついたので、その内容を忘れないうちに書いておきたい。
6月2日早朝の経済番組(テレ東のモーニングサテライト)のモーサテ塾(講師は日本電産の永守氏)において、「どんなことが起こっても誰かが得をして誰かが損をしている」という話があった。さらに「問題が起こる時にはチャンスがどっかに隠れている」という話もあった。
これを日本経済に当てはめると、1997年から98年にかけて、山一証券や北海道拓殖銀行、日本興業銀行が相次いで破綻したが、その一方で日本のGDPはそれほど変化しておらず、ヤフージャパン(ソフトバンク)や楽天、ニトリ、日本電産、サイバーエージェントなどが急成長をして、日本を代表する企業になった。このことは、同じ日のモーサテの専門記者の解説(2008年のエアービーアンドビーの話)にも通じる。
私が調べる限り、これまでの近代日本は政治や経済的に成長が行き詰まると、人口増加とインフレで過去の失敗を帳消しにする方法で再成長をする方法ととってきた。しかしながら、今は少子化が現在進行形(出生率が1.30)で進んでおり、高齢化も世界トップクラスなので、この方法は今回の低迷では使えない。
となると、もしも日本経済を再度成長軌道にしたいと思うならば、いまやたらと資金をため込み自社株買いをするばかりの大企業ではなく、これからの新興企業が日本のトップ企業になって成長を引っ張ってもらうしかないと思う。ただ、そのためには、1997年から98年に起こったようなこと、すなわち時代遅れのゾンビ企業や平成バブルの後遺症がまだ残っている銀行などをインフレによる金利上昇で淘汰させる必要があろう。そうすれば、淘汰された企業が今までもっていたお金や仕事を新興企業が奪い取る形で成長をし、時代が進めばそうした新興企業がこれからの日本を代表する企業になり日本経済も再度成長するのではと思っている。
ビットコインなどの暗号資産の急落について思うこと
昨日のアメリカ時間での取引において、ビットコインなどの暗号資産の価格がほぼすべて急落(CMC Crypto 200 indexという指数があるがこれが1日で20%近く急落)した。
経済番組(モーニングサテライト)の解説では、急落の原因はセルシウスネットワークという暗号資産の運用会社が口座への入金や口座からの出金を一時停止したことが原因と思われるという話だっだ。
確かに昨日だけの値動きはその通りだと思うが、暗号資産の価格は昨年の11月から右肩下がりになっている。この半年の間の一方的な値下がりは、他にも理由があることを示しており、いろいろ調べてみると最大の原因と思うのはFRBの金融引き締めの姿勢であると感じている。
一方で、今のインフレの状態では、金融引き締めはさらに厳しくなると思われるので、こうした状況では、なんらかの悪材料(今回は暗号資産運用会社の口座一時停止)が出てしまうと、資産家は一番値上がりの見込めない資産(もしくは一番値下がりしそうな資産)を真っ先に売る。その資産が現時点ではビットコインなどの暗号資産だということで、昨日のような急落になったのだろうと考えている。
このような状況では、FRBが金融引き締めの姿勢を変更しない限りすなわちインフレが収まらない限り、暗号資産は値下がりを続けるのではと思う。
あるネット上の記事では暗号資産は次世代の「金」と同じ役割をするもので、インフレに強いという話が書かれていたが、どうやら業者による提灯記事だったようだ。こうした情報は怪しいと思い、私は暗号資産には手を出していないが、こうした記事はネット上には多くあるので、これらに惑わされないようにするには、自力での勉強や反対意見にも触れるなどの対策が必要だろうと思う。
急速に進む円安について思うこと
最近の2カ月で円安が急速に進み、すでに130円台になったようだ。多くの人たちにとっては驚きであったようだが、私は特に驚かなかったし、このままだとさらに円安になると思っている。その理由は、日銀の態度もあるが、一番の理由は今の日本企業の状況である。
つい先日(4月11日ごろ)だったと思うが、日本経済新聞の記事に、日立やパナソニック、NECなどの大手企業で「週休3日」が導入されるとの記事があった。この記事によれは、企業によっては、週休3日でも給与は維持され、生産性向上で対応するという内容が書かれていた。
確かに同じレベルの仕事を短い時間で処理できれば生産性は向上し、週休3日でも対応できるだろう。
しかしながら、労働時間が短くなれば、なんらかの時間を削っていることには違いなく、例えば新しいものを生み出すために使うべき時間を削って生産性を向上させている場合もあるのではと思う。
こう考えると、海外との競争をしている日本を代表するような大手企業が、週休3日を導入して楽な道を進むことを選択するようでは、これから日本の大手企業は他国との競争に負けてしまうのではと思う。
日本の大手企業は他国との競争に負けてしまうと、現在問題になっている国際収支の赤字の解消は原材料価格の上昇が一服しても難しくなり、このことが、現在の円安水準よりもさらに円安が進む原因になると思っている。
ロシアへの経済制裁は効いているのか
最近のTVでの報道やネット上の記事では、米国主導のロシアへの経済制裁が盛んに取り上げられ、もうしばらくすればロシア経済は崩壊するというような話が盛んに出ている。
しかしながら、及川氏のYouTubeでの話によれば、米国は経済制裁後でもロシア産原油の輸入を増やしており、また通貨ルーブルの対ドル相場についても、制裁直後は暴落したが、現在では制裁前の水準近くまで回復しているとのことだ。
このことから、大方の意見(特にマスコミ)で言われるようなロシア経済の崩壊はウクライナとの戦闘が長期化しても発生しないのではと思われる。むしろ、米国主導の経済制裁があまり効果を発揮していないことにいらだった米国が、中間選挙後に選挙の結果次第では暴走するリスクのほうが大きいのではと思った。
よって、半年後の米国の中間選挙が今後の世界の行方を決まることになりそうだ。
日銀や政府の今後の対応次第では令和恐慌になってしまうかも
現在の経済関係の話題は、世界では専らインフレへの対応になっており、日本でも「悪い円安」として話題になっている。
このような状況で驚きの内容の記事を見た。その記事は「インフレ世界で沈む日本 元凶はコロナ禍ではなく消費税増税だ リーマンショックの二の舞になりかねない」という題名の記事であり、この記事では日本の物価は食料品とエネルギーを除くといまだに日本はデフレであると示されていた。今月以降、企業サイドで負担していた原材料などの値上がり分を販売価格に転嫁するため値上げに動くという話なので、この動きにより若干変化すると思われるが、それでも世界の動きと比べるとデフレ圧力の強さには驚かされる。
さらに、この記事では円安にも触れており「他の国々に比べて後退する国の通貨は、外国為替市場で絶好の投機売り対象になる」と書かれていたが、全くその通りだと思う。つい最近まで、トルコリラの暴落が話題になったが、近い将来日本円も同じようになってしまうかもしれない。
ただ、さらに恐ろしいのは、通貨安に耐えかねてもしくは恐れて、政府や日銀が緊縮路線に転換してしまうことだと思っている。今年の7月の参議院選挙が終われば当分の間は国政選挙がないので、8月以降が危ないと思っている。もしも緊縮への転換となってしまい、その後米国で景気後退が起こってしまえば、たちまち日本も大打撃を受け、 後に「令和恐慌」と呼ばれるような大不況になってしまうだろう。