ぎょうけんの投資ブログ

主に株式市場に関して思いついたことを記入しています

維持が難しいのは終身雇用より年功序列の賃金

 最近、経団連の会長やトヨタ自動車の社長から「終身雇用の維持が難しくなってきた」といった趣旨の話があり、ネット上ではかなり話題になっているが、本当に難しいのは終身雇用ではなく年功序列型の賃金体系ではないかと思っている。

 理由をいくつか挙げてみる。

 一つ目は、長期間ある業務に従事していることが強みとなる仕事が日本では減ってくる可能性が高いことがあげられる。最たるものが製造業で、最近のロボットなどの進化や海外移転の拡大で、極端にいえば勤務1年程度の従業員でも、十数年勤務の従業員と差がほとんどなくない仕事ができるようになってきている。こうなると、企業側は長期間勤務の従業員に高い給与を支払う動機がなくなってくるので、他社との競争に勝つために一定以上の勤務年数に達すると給与は頭打ちの給与体系にしてくるだろう。

 二つ目は、長期間ある業務に従事しているほど、変化への対応が遅れる傾向があることだ。対応に時間がかかる従業員に、高い給与を払うメリットはないため、他社との競争に勝つために年功序列型の賃金体系は一度解消となり、別の給与体系になるだろう。

 三つ目は、バブル経済のときに大量に採用した世代が、年功序列型の賃金体系の恩恵を受ける時期に差し掛かっていることだ。今は、特に大企業はかなりの利益を上げているため、問題にはなっていないが、不景気になり利益が計上できなくなってくると、これまで大企業は大幅なリストラをしてきた。リストラでは、「一定年齢を超えており」かつ「仕事の質や量に比べて多額の給与をもらっている」従業員が標的になる。これに見事に当てはまるのが、バブル経済のときに大量に採用した世代であり、これから不景気になり利益が上げられなくなると、人件費の削減を考えるようになる。その方法として、一定数の従業員を削減し給与水準は維持する方法もあるが、この方法は劇薬でかなりの労力が必要になる。よって、たいていの大企業はおそらく年功序列型の賃金体系の後半部分の水準をかなり引き下げるという手段で対応してくると思っている。そうなると、年功序列型の賃金体系は、現在は50歳前後がピークのようだが、昇格がない限りでは40代前半でピークとなり65歳まで給与は徐々に下がってくるという賃金体系になると思われる。